月経時の出血が多い子宮筋腫、下腹部を触るとしこりを感じる子宮筋腫
子宮は妊娠や陣痛の時に伸縮する子宮筋層からなり、筋肉の両面を膜が覆う三層構造になっている。内側を覆う膜を子宮内膜、外側の膜を漿膜という。
子宮筋腫とは、この子宮筋層にできる良性の腫瘍である。
子宮筋腫の発生には、卵巣の働きが関係しており子宮筋腫の芽ともいうべき筋腫核が、卵巣から分泌される女性ホルモンの作用によって増殖し、筋腫になると考えられている。
腫瘍の大きさや数は様々で、性成熟期(子どもが生める体)の女性の大半が子宮筋腫をもっている、と言ってもいいほどポピュラーな病気である。子宮筋腫は、発生する場所によって大きく3つに分けられ、それぞれ症状も異なる。
最も多い場所は筋層内筋腫、次に漿膜下筋腫、そして最後に粘膜下筋腫がある。子宮頸部にできるケースもあるが、95%が上記の3箇所で起こる。
【 筋層内筋腫 】
子宮の筋肉の中で筋腫が大きくなる。筋腫が大きくなるにつれ、子宮の内側を覆う子宮内膜が引き伸ばされていく。
そのため、月経痛や月経時の出血が多くなり、下腹部を触るとしこりを感じるようになる。
【 漿膜下筋腫 】
子宮の外側に向かって大きくなる。かなり大きくなっても症状が出にくいため、外から触れて分かるほど大きくなっても、太ったと勘違いしがちである。
【 粘膜下筋腫 】
子宮内膜に向かって大きくなる。発生率は少ないが、症状は最もはっきりと現れる。筋腫が小さなうちから月経多過や不正出血の症状がみられる。
他にも、子宮筋腫の一般的な症状としては、月経過多や不正出血、貧血、動悸、息切れ、ひどい月経痛や下腹部の痛み、頻尿や便秘などがある。しかし、筋腫が小さいうちは、自覚症状が見れらない場合が多く、日常の生活に支障をきたすこともなく、生涯無症状の人もいる。
子宮筋腫は、よくみられる病気にもかかわらず、詳しい原因というのはわかっていない。しかし、性成熟期の女性に多く見られることから、卵巣ホルモンと関係があると考えられている。特にエストロゲン(卵胞ホルモン)は、子宮を発育させるが、筋腫自体も発育させているのではないかともいわれている。
また、女性の平均結婚年齢が高くなり、初めての妊娠を迎える年齢も遅くなり、子供の数も減っている事から、妊娠していない期間が長くなっていることも、原因の1つだと考えられている。
他にも、子宮筋腫を促す要因として、子宮周辺の血流障害、環境ホルモンの影響、動物性たんぱく質の摂取しすぎ、食生活の変化などがあげられる。
子宮筋腫に、決め手となる予防法はないが、血液循環を常に正常に保つことが予防、筋腫の増大を遅らせることにつながる。
体、特に下半身を冷やさないように気をつけ、長く椅子などに座ることは避け、適度な運動をして体を動かす。タバコはやめ、睡眠を充分にとりストレスをためないようにする。
また、子宮筋腫の症状である貧血や便秘を改善するために、緑黄色野菜や鉄分、ビタミンを積極的に摂る。動物性たんぱくや欧米食の食べすぎは控えること。
子宮筋腫に良い食べ物としては、キャベツ、ニンジン、椎茸、えのき茸、ブナシメジ、ナメコ、大豆、ニンニク、玉ねぎ、蓮根、ほうれん草、大根、パセリ、カボチャ、青魚などがあり、これらを取り入れた伝統的な自然和食を多く摂る。
子宮筋腫は、30歳代の4人に1人はみられる病気で、稀に悪性のがんに進行する場合もあるので、年に一回は婦人科で検診を受けることが大切である。