弱毒化したジフテリア毒素に抗がん作用があることを、大阪大微生物病研究所の目加田英輔教授(細胞生物学)と福岡大医学部の宮本新吾准教授(産婦人科 学)らが動物実験で突き止め、12月から卵巣がん患者を対象に、新薬としての安全性を確認する臨床試験を、両大学で始めた。
新薬の候補となっているのは、ジフテリア菌の変異株の一種が分泌するたんぱく質「CRM197」。本来は心疾患などを引き起こす毒素だが、突然変異で分子構造が変化し、毒性は数万分の1に弱まっているという。
【千葉】ウェザー・サービス(千葉県成田市、横田匡彦社長、0476・23・8727)は08年春に、アレルギーの分析、評価事業に参入する。08年3月 にインキュベーション施設である亥鼻イノベーションプラザ(千葉市中央区)に、花粉を空気中に飛散させる実験室を設置。千葉大学医学部の岡本美孝教授と共 同で、花粉アレルギーの臨床試験を製薬会社などから受託するビジネスを展開する。同事業で2010年に売上高13億円を目指す。
花粉アレルギーの新薬開発支援や治療法の研究などを扱う。人工的に花粉を散らす飛散室を設置して、花粉症の被験者を対象にした臨床試験を行う。同社は花粉試験の実施、営業などを担当し、千葉大は試験の指導と検査を行う。
2007年12月14日、科技日報が伝えたところによると、今年9月、中国で世界初となる遺伝子組み換えウサギのクローンが誕生していたことが明らかとなった。
クローンウサギは、上海交通大学医学院付属新華委員発育生物研究センターと中国農業科学院北京畜牧獣医研究所国家畜禽憤死遺伝育種センターが共同で研究。 今年9月14日に誕生し、生育は順調。このほど遺伝子鑑定の結果が分かり、元のウサギに組み込まれた緑色蛍光タンパク質の遺伝子がクローンウサギにも確認 されたため、公表に踏み切った。
動物の遺伝子組み換え技術は成功率が低いのが難点だが、組み換え後、クローンを作ることができれば、遺伝子組み換え動物を大量に生み出すことができる。ウ サギは実験動物として頭数の確保が重要であるため、今回の遺伝子組み換えクローンウサギの実験成功は、今後の薬学、遺伝学研究に大きく貢献するものと期待 されている。
「助かる命を助けられる国へ」をキャッチフレーズに、臓器移植への理解を深めようという市民公開講座「ハートtoハート」(日本大学医学部心臓血管外科主催)が8日、東京・九段南の日大会館で開かれた。
脳死者からの臓器移植を認める「臓器移植法」が施行されて今年で10年。わが国の脳死臓器移植は欧米や韓国、台湾などに比べてきわめて少ないのが実情だ。とりわけ脳死者からの移植しかあり得ない心臓移植は、この10年間で49例にとどまっている。
この公開講座では、日本で心臓移植の実施例がもっとも多い大阪大学医学部付属病院移植医療部の福嶌教偉副部長が、臓器提供が少ないために患者を助けられない医師のジレンマを外国の状況と比較しながら説明。
また、米国で30年間、移植医療に携わっている南カリフォルニア大学医学部の岩城裕一教授は、米国でも臓器不足が深刻化しており、日本人の渡航移植が困難になっている現状を報告した。
さらに14年前に米国で心臓移植を受けた37歳の男性や、ドイツで心臓移植を受けて4年という23歳の女性がそれぞれの体験から「日本も臓器移植に関す る制度を整え、社会の理解を深めて、真に助かる命を助けられる国になってほしい」と訴えると、公募で集まった約500人の参加者は熱心に耳を傾けていた。